古代文明以来、人間とともにあり、専門職人たちの手でつくられてきた椅子は、近代を迎えて大きな転機を迎える。大量生産と機械化の時代を潜り抜け、手づくりの小規模生産が生き残るのはなぜか。近年、他業種の傾向に反して木製家具製造業で、従業員3人以下の事業所数シェアが増大しているのはなぜだろうか。本書は、手づくりや工芸品、つまりクラフトが最も身近で生活に影響を与えると同時に、経済社会にも影響を与えていることを問うている。
椅子という商品には、生産や流通をめぐる経済構造に何か特別な点があるのだろうか。作り手そして購入者にとっての、椅子の魅力と特性とは何だろうか。近代椅子の名作、現代日本の椅子作家の作品に触れながら、職人たちの小規模生産が生き残る椅子づくりの世界に多角的にせまる。ものづくりの将来と日本の経済社会を見据え、クラフツ経済の現代的課題と強みをさぐる。椅子との「一者・二者関係」に対して「三者関係」を位置付け、「椅子の世界」の全体構成に迫っています。
椅子展の紹介
現在の日本では、椅子制作者たちによる「椅子展」が盛んに開催されています。なかでも、上記の書籍で取材している「グレイン・ノート椅子展」「はぐくむ工芸ー子ども椅子展」は早い時期から開催され注目されていますが、これ以外にも、神戸の「一脚展」、京都の「きょうと椅子」展、高山の「高山椅子展」、名古屋の「木の家具40人展」が知られています。下記を参照してください。
・「一脚展」
・「きょうと椅子」展
・「高山椅子展」
・「木の家具40人展」
近代の名作椅子コレクション
上記のオリジナル椅子展以外に、近代の名作椅子コレクションを常設している美術館・展示場が知られている。
富山県美術館(外部リンク版)
武蔵野美術大学美術館・図書館(現在修復中のため、3Dアプリ)